待ち焦がれた夜明け。
寒さと疲労で体が重い。何も食べていないので空腹だ。げっそりしながらテントを片付けた。

昨晩に上り坂だと思ったのは錯覚で、ただの傾斜だった。1キロくらい進むとあっさり町が見つかった。
どうやら探していた町はとうに通り過ぎたか、地図が間違っていたようだ。地図が信用できないことがここまで不安だとは……。
この日は昼過ぎまで走って到着した町で休むことにした。





とあるのどかな町。風車が回っていた。よく見ると芯は車のホイールだ。





宿に荷物を置いて町をうろうろしていたら子供がわんさか集まってきた。





彼らの日常の風景に入り込んでいく。
こんな辺境の町の居住区に入り込んでくる外国人観光客なんて10年に一人くらいかもしれない。
もしかしたらこの町では自分がはじめてなのかも。





夕暮れの中、教会の前で女性達がくつろいでいて、こちらと目が合うと声を出して笑った。
いつもは馬鹿なくせに、こういうとき彼らはハッとするほどいい笑顔で笑うのだった。





袖をまくると、ウデ全体にびっしりと不気味な湿疹が出来ていた……と思ったら大量の水ぶくれであった。
シャワーを浴びると両腕、両腿、顔面、くびすじ、耳の上と、焼けた部分のヒフがベロンベロンと紙みたいにむけて色がまだらになってしまった。
過去に体験したことのない焼け具合だ。
前の町で買った軟膏は使い果たしてしまったので、新しく買った別の軟膏をサッと塗ったら
傷口に練りわさびを塗りたくったような激痛が走り、一人で悶絶。





長い長い下り坂を降りると、再び強烈な暑さが襲ってきて走れなくなった。
日なたに放置していた温度計は46度を示している。壊れたかとおもった。
昨日の朝は寒さで凍えてたというのになんという落差だ……。





遠くから無表情でいぶかしげに見つめてくるような村もあれば、好奇の目を向けて打ち解けてくる村もある。





この少年はデジカメのプレビュー画面で今までの道程の写真を見せると、とても興味深そうに見入っていた。





電波塔だ。これが見えたら町が近い証拠。

この日も夕方に村に着き、時間を節約するためにそのままバスで標高の高いところまで上って宿に泊まったのだけど、
自転車料金を余計にとられて手持ちの現地通貨が切れてしまい困った。
両替所もなさそうだし、明日の朝一で銀行に行ってお金を下ろさないといけない。
幸いクレジットカードで現金を引き落とすことができた。




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