草原は終わり、バスで標高1500メートルの高原へと移動した。







タンザニアにはアジア方面からの中古車をよく見かける。
おそらく船で運ばれて来ているのだろう。





ひまわりが咲いていた。





下校途中の小学生とすれ違った。タンザニアの小学生だ。
この少年は上り坂で僕の自転車を後ろから押してくれた。





遠くでスコールが降っている。





夜が迫る。原始的な、太古の地球を思わせるような夕暮れ。
長い下り坂を降りていると、深海に潜っていくような錯覚があった。
自然というものに対する不思議な畏れを感じる。

世界はあっという間に真っ暗になり、空は不気味なほど無数の星が瞬いた。
綺麗だけど、孤独に夜道を走っている僕にとってはのしかかってくるような圧迫感があった。
あんなにはっきりした天の川は初めて見た。

地図によれば15キロほど先に町があるはずで、夜道を覚悟で前の町を出てきたのだったが
20キロ走っても町は見えて来ない。

どこかの電波塔の前を通り過ぎるとき、番犬がけたたましく吠えて追いかけてきた!なんてこった。
まっくらなので姿は見えず、獣が駆ける足音と息遣いがすぐそこに迫る。全力でペダルを回して逃げた。
もちろん路面の状況はロクに見えないので、うっかりつまづいてもタダじゃ済まない。
怖さと緊張、焦り、疲れ、そんなもので頭がいっぱいになった。

34キロ走ったところで目の前にものすごい上り坂が迫った。ダメだ。ギブアップ。
道の脇にテントを張った。初めての野宿だ。

夜中に何度も何度も「朝になってテントを出ると近くに大きな町があった」夢を見ては、あまりの寒さに目が覚める。
日中は35度を超す暑さなのだけど、標高が高くなったせいか10度以下まで冷え込んだ。信じられない温度差だ。
まさかこんなに寒くなるなんて思わなかった。持っている服を全部着こんで、寝袋代わりのシーツにくるまって必死で寝た。
テントも自転車も結露してびっしょりだ。時刻は深夜2時。2時!朝が遠い。
今この瞬間、日本では変わらぬ日々が本当に続いてるのかと疑いたくなる。とにかく全力で眠る。眠る。眠る…。




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