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朝、いつものように自転車を漕ぎはじめると、しばらくしてこんな看板が見えてきた。
DANGER と書いてある。
せっかくだから俺はこの道を進むぜ!
ここはミクミ国立公園だ。30分に1回くらい通る車を除けば、あたりに家や人の気配はまったくない。茂みや草原、まばらな木立が広がるばかりだ。
今にも道路脇の茂みから何かが飛び出して来そうで、ちょっと異様な空気が立ちこめていた。
しかしそんな心配をよそに生き物の気配もほとんどない。と思ってふと横を見ると、
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/ ─ ─ \ 何かいるお…
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
自分より倍以上も大きい生き物と、柵もなしに対峙するのは想像以上に威圧感がある。
襲われたら100パーセント勝てないと本能が感じてひやりとする。
距離は30メートルくらいだったが、そのキリンはじっとこちらを見ていた。
動物園や図鑑でみた小奇麗なキリンと違い、宇宙人のような不気味な顔をしているように見えた……。
いつでも全力で走りぬける準備をしながらゆっくり進むと、キリンはドコロッドコロッと低い足音を響かせて立ち去った。
自分はアフリカに一人でいる、のだ。
バブーン。こちらをあまり警戒しない。
レイヨウ類の群れ。かなり離れてるけど、こちらと目が合うといっせいに身を翻していってしまった。
遠くにゾウがいる。
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