朝から天気は優れず、頭上に雨雲を仰ぎながら再スタートを切ることとなった。
雨が降っても日差しを浴びてもつらい。せめて曇っている間に走ろう。
大気が澄んでいるのではるか遠くの雲の形も鮮明に見える。雨が降っていれば視認するのはたやすい。
国道沿いにはときどき村がある。雨の気配があれば次の村で休憩だ。





途中の村でマサイ族に出会う。
タンザニアにはマサイ族が暮らしている村が点在している。
彼らは独特の衣装を着て手足が長く、耳たぶは大きな穴があいてビローンと垂れ下がっている。
ここタンザニアにあっても21世紀とは思えない時代錯誤感と、野性的な誇り、固有の民族というものを感じさせた。

しかし彼らも携帯電話を持っていて腰に懐中電灯を差し、
写真を撮っていいかと聞いたら「1枚1ドルだ」
写真を撮ったら「おまえのEメール教えてくれw」とちゃっかりしている。
なかなかどうして21世紀であった。





       . … .
       :____:
     :/_ノ  ー、\:
   :/( ●) (●)。\:
  :/:::::: r(__人__) 、::::\: マサイ野郎がビリヤードやってるおwwww
  :|    { l/⌒ヽ    |:
  :\   /   /   /:

写真左にいるのはマサイ族。
雑貨店でジュースを飲みながら休憩していて、ふっと横を見たらあの伝統的なカッコウで大真面目にキューを構えていてふいた。

意外なことにタンザニアをはじめアフリカ南部地域ではビリヤード(プール)が普及している。
玉は日本のものと異なりピンポン玉より少し大きいくらいの軽い玉で、台にコインを入れると的球が出て来る仕組みだ。ルールはエイトボールが主流。
休憩がてら、よく遊ばせてもらった。

   -‐'´ ̄ ̄ ̄`ヽ  ワロスwww何者www
  //, '/レ/ `ノヽ ヽ
 〃 {_{ .ノ    ヽ \リ   -‐'´ ̄ ̄ ̄`ヽ、
 レ!小l(●) (●) |リ  //, '/レ/ `ノ \ ヽ
 | | |∂ (__人__) |  〃 {_{ ノ    ヽ \ ヽ おい見てみろよ
 レ|∬   `)  (´  |  レ!小l (●)  (●) ヽ リ イスラムの東洋人がビリヤードやってんぜwwww
   |    `ー'   }  | | |∂. (__人__)   ヽリ
   ヽ       }  レ|∬    )  ( ´   .| 
    ヽ     ノ   .\ _.  `ー'   /
   /      ヽ   /    ⌒    `ヽ、
  /         ヽ, ./  .     ,9mー )
  /  /      }  | .|  |     `ーー‐'゙   彼らからするとこんな風に見られているのだろう
 .|  .{.      .|  | ヽ、 \       |
 .|  .|.      .|  |   |\ ヽ     .ノ

村とも呼べない集落のような場所でも雑貨屋の店先やレストランなどにビリヤード台が置いてあることは多い。
ほとんどの場合、台は外に置いてあるので台上は砂や小石が散乱しているし、キューは100円ショップに置いてそうな安いつくりで、
風が吹けば玉の軌道はぐにゃりと曲がるアフリカンスタイル。
しかしそんな悪条件下でもうまい奴は多い。暇をもてあましてひたすら遊んでたりするからなのか。





この日は70キロ走ったところでとうとう雨に追いつかれ、73キロ目にあったドマの村でストップ。
昨日は3600円の高級宿だったけど、今日は1泊300円のボロ宿である。
といってもシャワーを浴びて寝るだけだ。他に宿もないので仕方あるまい。

火傷で身体が痛むため早めに寝ようとしたけど、身体が汗でベタベタの上に暑さと熱さで眠れず。
しかし部屋の明かりは薄暗く、マラリア蚊のウヨウヨいる夜に外へ出てやることもないので、
こんなときはまっくらなボロ部屋で何時間もただ横になる以外にない。
遠くから人のざわめきやスピーカーから流れる音楽、車のエンジンの音が聞こえてくる。
こういうとき、いろいろなことが頭に浮かぶ。

あまりにも暇なので脳内で昔のジャンプ漫画を"思い出し読み"していた。人間追い詰められるといろいろ考えるものである。
刑務所の独房に入れられたらこんな気分かもしれない。



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