■西サハラ北部〜南部



西サハラ南下ルート。砂漠で人口過疎地域だが、温暖で雨がほとんど降らない上、南下ルートは追い風になりやすく、定期的に補給のできるポイントもあるので見た目ほど難易度は高くない。体調万全の状態で追い風なら普段の1.5倍くらいのペースで走れると思う。自転車の修理が可能な場所はほぼ皆無なので、メカトラブルには要注意。ちなみに途中の港町ダフラやモーリタニア国境からは便数は少ないものの、近代的なCTM社の長距離バスが発着している。




Picasa 地図上で写真を見る@Picasa(■準備中) ※別ウインドウ/別タブで開きます
総走行距離 推定1000キロ前後
滞在期間 2011年3月
特記事項 物価や物資の流通、食事、文化などはモロッコとさほど変わらない。基本的にはモロッコである。町には安宿やレストラン、ネット環境もある。自転車屋やアウトドア用品店はほぼ皆無。モーリタニア以南の西アフリカでは物価も環境も質が低下するので、南下する場合は最後のモロッコを満喫しておこう。
ちなみに、僕はアルコールを飲まないので詳しく調査していないが、ダフラではアルコール類の入手が可能である。近代的なホテルの裏口などでこっそり販売されていたので、どうしても飲みたい人はそのへんを当たってみるとよさげ。本来は非イスラムの外国人向けに販売しているらしいが、敬虔なムスリム達は当然快く思っていないので注意しよう。こうした裏口販売はモーリタニアやセネガルをはじめ、他のイスラム圏でもあるようだ。
ついでに、西サハラ縦断ルートに関してはブログの「旅行中メモ」にも写真入りで記録しておいた。下記リンクを参照のこと。
旅行中メモ第18回:西サハラ南下ルートの風向き、補給ポイント、携行食料
旅行中メモ第19回:モーリタニアのサハラ越えと西サハラとの違いなど
治安 政治的なトラブルの続いていた地域だが、2011年現在はモロッコが実効支配した状態で安定している。いわゆる観光客を狙った犯罪や誘拐が多いといったことはない。ただし各所で検問があり、自転車で通行する場合は頻繁にパスポート原本の提示を求められる(これはモロッコ南部もそうだが)。ラーユーンでは軍も多く駐屯していて、軍事施設や軍用車両などを迂闊に撮影していると厳しく注意される。また、内陸部ではポリサリオ戦線が実効支配してるらしい。このへんは政治的なゴタゴタの収拾がつかないままなのだろう。西サハラ北部には砂の壁と呼ばれる軍事境界線が築かれている。当然ここは立ち入り禁止区域。こうした場所では緊張状態は続いているらしいが、沿岸部を縦断するだけならほとんど関係なく移動できる。
また、モロッコ人も西サハラに住むサハラウィも「西サハラはモロッコの領土」だと認識しているので、うかつにモロッコと西サハラが分断された地図などを見せると領土主張されることがある。ここはモロッコだ、おまえの地図はおかしい!とか。



エリア 地名 標高 ルート詳細
タルファーヤ
〜ラーユーン
〜ブジュドゥール
Tarfaya
→LaAyoune
→LaAyounePlage
→Lamseed
→Boujdour
100(Tarfaya)
→200
→150(LaAyoune)
→100(Boujdour)
概ね平坦。ここからセネガルまでは標高差はほとんどなくなり、風向きと補給地点が重要になってくる。西サハラとの境目の集落(レストラン)を過ぎるとラーユーンまで補給できるストアはない。一箇所集落があるが国道から少し離れている。ラーユーンは雰囲気はモロッコと少し違うものの、物の流通や物価はほとんど変わらない。銀行もある。ただスーパーマーケットだとか、いかにも近代的な店や施設は少ない(2011年現在)。町は新市街と旧市街に分かれている。町の北側から入る場合、入り口の大きな橋を渡り、左側(坂の上)が新市街(シェラ・ブクラ方面)。右側に1キロほど進むと旧市街(スーク・ジャマル方面)。シェラ・ブクラは地区でなく通りの名前らしいが、言えば通じる。旧市街はとにかく安い宿、新市街はWi-Fiの使える宿がある。どちらも広めの通りを走っていればホテルは見つかるだろう。
ラーユーンではサハラウィ(砂漠の民族)御用達のターバンが売っている。どちらの地区でも買えるが新市街の市場の方が広くて店が多い。モーリタニア以南では砂塵が吹くことが多いので買っておくとマスクとして使える。付け方は適当だが店員に聞いておくと吉。値段は250円くらい。
自転車屋はかろうじてあるが品質の高いものは置いていない。金属の溶接屋は確かスタジアムの近く?あたりに固まっていた気がする(うろ覚え)。
ラーユーンからは本格的に西サハラのルートに入っていく。以下に補給地点を記す。

○ラーユーン→ブジュドゥール
※ここの距離はちょっと曖昧
約18km? ストア、ガソリンスタンド
約25km? ラーユーン港、まともな町
約100km? レストラン、ガソリンスタンド(ラムシードの集落)
約185km? ブジュドゥールの町

約20〜25キロ先にラーユーン港がある。ここは通過してしまったが結構賑わいのある町で、宿、商店、レストランなどが一揃いしている。ラーユーン港の先はラムシードのトラックストップ(宿なし・レストラン有り)まで国道沿いに町はない。沿岸部に集落は見えたが詳細不明。ラムシードからブジュドゥールまではヒッチハイクでスキップしたが検問が1箇所あるだけで補給はほとんどなさそうである。ブジュドゥールは小さいがきちんとした町で、Wi-Fiのある安宿もある(後述)。
ブジュドゥール
〜ダフラ
Boujdour
→Dakhra
100(Boujdour)
→250
→100(Dakhra)
いよいよ西サハラだが、ガソリンスタンドと共にレストランやストアも点在している。下記に補給地点を記す。

○ブジュドゥール→ダフラ
※空欄はストア以下の建物等
62km
137km レストラン
144km レストラン、ガソリンスタンド
168km レストラン
218km
228km
285km
288km
311km レストラン、ガソリンスタンド(ダフラ交差点)
350km ダフラの町

ブジュドゥールからは137キロ先のレストランまで補給なし。この区間で食料や水の消費ペースがつかめると思われる。結構な距離だが追い風になれば思ったより簡単である。横風や向かい風になると途端に大変になる。173キロ地点のレストランから133キロ先のダフラ交差点のレストランまで補給なし。この区間は漁業マーケット?や新興集落?があって人は住んでいるらしいがストアはなさそうである。いずれできるかも。
ダフラ交差点から半島側に曲がって39キロ進むとダフラの町。ダフラへ至る道は遠浅の浜辺があったりして西サハラの風景とは少し違う。砂丘の中には白人向けの高級ロッジなどもあるようだ。
ダフラは20世紀後半から急速に発展したため、ラーユーンよりも近代的な雰囲気がある。半島をまっすぐ南下していくだけで町の中心付近に到着できる。僕はモスク近くの中級宿に泊まったが、バスの発着所付近に安宿がありそうである。
また、南下ルートだとここがモロッコ圏での最後のまともな町となる。モーリタニアに入ると物価が上がったり(陸路が寸断されていて海路で輸入しているため)、いろいろ環境が変わるのでそのつもりでいよう。ジェラバ(モロッコの礼拝服)の販売やクリーニングができる場所もここが最後のようだ。
ダフラ
〜モーリタニア国境
Dakhra
→point85
→MauritaniaBorder
100(Dakhra)
→100(MauritaniaBorder)
ダフラからダフラ交差点までは向かい風になるのでバスでスキップした。CTM社のバスなら自転車を積み込んで移動できた。
以下、ダフラ交差点以降の補給地点を記す。


○ダフラ交差点→ヌアディブ
※空欄はストア以下の建物等
34km ストア、ガソリンスタンド、簡易宿(規模は小さい)
39km レストラン、集落
43km レストラン
84km
90km レストラン、ガソリンスタンド
248km レストラン、安宿
333km レストラン、安宿、国境
337km モーリタニア側の国境
350km? ストア
395km ヌアディブの町

90キロ地点〜248キロ地点の約158キロ間が最長の無補給区間である。とはいえ、ここまでで走行ペースがつかめているはずなので、風向きさえおかしくなければ一日で走破可能であろう。この248キロ地点(モーリタニア国境から85キロ地点)は国境を除けば西サハラ最南部の町であり、領有権を主張するモロッコが2000年代後半から開発を進めているようで、いずれはそこそこの規模の町になりそうである。南下してくるとガソリンスタンドのそばに安宿があるが、さらに1キロ南に新しくて大きいホテル&レストランがある。一見高そうに見えて1泊1000円でWi-Fi付きと優良物件である。
モーリタニア国境の手前には安宿とレストラン、ストアがある。商店ではモーリタニア通貨への両替もしてもらえる。モロッコ料理のタジンを手軽に食べられるのはここが最後となる。モーリタニアに入ると砂塵が舞いやすく、青空や星空も見えなくなっていく。
モーリタニア国境 MauritaniaBorder 100(MauritaniaBorder) 地図上では西サハラの国境となっているが、実質ここがモロッコの国境になるため、モロッコの出国手続きもここで行う。モロッコ側ではスタンプを押してもらうだけ。モロッコ各地の検問と同じく、職業などを聞かれるが、担当職員が真面目に働いていればすぐ終わる。
モロッコとモーリタニアの間には数キロの緩衝地帯がある。深砂と岩場の悪路で、ルートから外れると戦争期に仕掛けられた地雷が埋まっているらしい。ときどき車の往来はあるので徒歩でもなんとか迷わずに進めるが、距離は3〜5キロくらい(うろ覚え)と結構ある。
モロッコ側のゲートをくぐると待ち構えていたかのようにモーリタニア人の両替商やボロタクシードライバーが客引きに来る。ここの客引きは思い切りふっかけてくるので、利用する場合は料金交渉が必要。僕は40ドルと言われた料金を5〜10ドル相当まで値切ってモーリタニア側まで運んでもらった。
モーリタニア側の国境では軍と警察の両方の事務所?に出頭して入国手続きを行うらしい。このへんはよくわからないが、モロッコ側と比べていろいろとレベルが後退するので慎重に。モーリタニアの軍人は頭が18世紀で止まっている(モーリタニア住民談)ということらしい。僕はゴキゲンとり用のタバコを数箱用意していた(結局使わなかったが)。それから、どこか別項目でも書いたが、モーリタニア入国ビザは国境で取得できない可能性が高いので、ここでビザがないと最悪モロッコ首都ラバトまで戻るハメになる。



■シマノ取り扱い自転車ショップ

場所
チューブ
/パンク
用品
チェーン
ワイヤー
26インチ
スリック
タイヤ
26インチ
ホイール
コンポ
工具
/小物
オイル
サイクル
パンツ
詳細 写真
なし
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モロッコ同様に先進的な自転車屋は皆無。ダフラでは今後できる可能性もなくはない……が、期待しないほうがいいだろう。モーリタニアも期待できないので、次にかろうじてまともな自転車屋があるのはセネガル首都ダカールになる。 なし



■その他の情報

種別 場所 詳細 写真
安宿 西サハラ
/ブジュドゥール
メインストリートのレストランなどが集まっているあたりから海側に少し進んだところにネットが使えて綺麗な700円の安宿がある。長居するような町ではないが西サハラ越えを前に態勢を整えるにはちょうどいい。 GOS(GroupeOutaleService) www.hotel-Gos.new.fr クリックで移動


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