自転車の飛行機輪行・その他補足


さてさて今回は海外自転車旅行での飛行機輪行に関する雑多な補足、メモを残しておく。

以前の項目でも書いてあったと思うが、自転車とともに外国から外国へのフライトするのはいろいろと苦労や下準備がある。箱詰めもそうだし、それをどうやって空港まで持っていくかとか、フライト後に壊れていたらどうすんのとか。実際にやろうとするとだいたいの流れはわかるけど、回数を重ねるといろいろ慣れてくる部分や問題の起こった事例が出てくるので、そうしたメモを残しておきたい。一生に一度くらい海外で自転車旅行したいと思ってる人のための項目である。おんなじような話をボケて何度もしてるけどまあいいや。






■自転車用の箱のサイズ
箱のサイズは箱の側面などに書いてある。電話で確保してもらう場合はサイズを伝えよう。僕の身長167センチに適合する自転車だと、最小で 126 * 19.5 * 70 の箱で梱包可能である。やや小さく感じるが、サドルを外せばシートポストを下げずに収納できる。高さが75くらいあるとサドルを外さずに梱包できて、サドルバッグも外す必要がなくなるので楽だ。




左側は横138、右側は横126。実際に詰めようとすると結構違う。
まあ多少大きくてもなんとかなるけどね


大きい箱だと輸送時に自転車が揺れるので破損の危険が出てくるので、できるだけピッタリのサイズが望ましい。大きくなると重量も増え、超過料金が加算される可能性も出てくる。自転車にサイズがあるように箱にもサイズがあるので、もし使う際は適切なサイズのものをお店で確保してもらうのがいいだろう。

○日本の場合
自転車屋はたくさんあるが、下記と問題が出やすいので注意が必要。


・箱の廃棄サイクルが早い
海外と違って日本は狭い&ゴミ収集インフラが整っているためにすぐ捨てられる。フライトの2週間〜1ヶ月くらい前に電話でサイズを伝え、確保しておいてもらうのがいい。


・箱を自宅まで運ぶのが意外と大変
箱を担いで自転車に乗るのは困難かつ危険なので、徒歩で運ぶことになる。徒歩圏内に自転車屋があればいいが、そうでなければ結構大変。もし懇意にしている自転車屋が近くにあれば、そこで旅行用自転車を分解・梱包して輸送業者に空港まで運んでもらう手もある。


○海外の場合
先進的な店さえあれば箱は処分されずに放置されていることが多い。都市によってはぶっつけでも十分入手は可能、というのが実感だ。国・都市によっては自転車屋を見つけ出すことが一番大変だったりする。各国主要都市でどのくらい先進的な自転車屋があるかについては「走行ルート詳細」の項目で、自転車屋情報を写真入りで見れるようになっているので参考にしてほしい。






■ラッピング梱包
書いてから気づいたけど前項目でも書いてましたねこの話。まあもう一度書いとく。

日本の成田空港にはないが、各国の空港には梱包用のラッピングサービスがあり、荷物をまとめるのに便利という話は前項目でもした。これを市販のサランラップでセルフ梱包できるかというと、実は意外とできてしまう。日本での梱包やお金の節約にはもってこいである(ただし荷物の梱包に使っただけで自転車を梱包したことはない)。やり方は、なるべく大型のサランラップで荷物をぐるぐる巻きにしていくというもの。ちょうど雪だるまを作るような感じで、複数のサイドバッグを転がしてラップを巻き、ひとつにまとめていく。


前項目と同じ写真だったわ


自転車旅行だとサイドバッグが4つ、フロントバッグが1つという荷物構成になりがちで、航空会社によっては預け入れ荷物に2〜3個までの個数制限をかけているところもあり、バラバラに預けると余計な超過料金がかかってしまう。そんなときはあらかじめサランラップで1つにまとめれば個数制限を回避できる。個数制限がなくても、荷物がひとつにまとまっているとフライト時のロストバゲージ(荷物の到着遅延)の可能性を下げることができる。空港へ運ぶには前項目でも書いた空港専門の輸送業者を使うと便利。


航空会社によっては個数制限はないが重量制限はある、という条件が課せられている場合もあって、その場合はひとつにまとめすぎると超過料金がかかってしまう。このへんについては航空券を買う際によく問い合わせて、フライト時にどう荷物を輸送するかも念頭に置いて決めたいところ。




■航空会社への預け入れ荷物制限の確認
自転車旅行者にとって、航空券を買うのにつきまとう問題が荷物制限である。


各航空会社では預け入れ荷物の個数・重量に制限があり、超過料金の適用ルールも異なる。一般的には23キロ以下の荷物を2個まで、1キロオーバーするごとに1000円、という感じだが、これもまちまちなので航空券を購入する前に航空会社オフィスに問い合わせた方がいい。自転車は特別に10000円かかるという場合もあれば、通常の荷物と同様に扱い、重量をオーバーした分だけ超過料金が適用されるというパターンも。


このときは自転車19.5キロ、預け入れ荷物20キロ。
重量制限は全荷物に対し40キロまで、自転車特別料金なしだったので超過料金はかからない。
鷹村選手、計量OKです。ちなみに中国国際航空。



超過料金のかかり方については、1キロ1000円くらいなら安い方だ。たまに1キロにつき4000円以上とられる鬼畜な航空会社がある。特に格安のセカンドキャリア(各国のナショナルフラッグキャリアでない、やや格下の航空会社。普通に使う分にはほとんど差異はない)だと、チケットは安いけど荷物制限がかなり厳しい場合が多い。普通のバックパックでの旅行なら問題ないのだが……。


そしてここからが注意したいのが、チケットオフィスやチェックインカウンターの担当者すべてが「自転車の超過料金に関して把握しているわけではない」ということであります。


実際にケープタウンからイスタンブールへフライトする際、カタール航空で発生した事例を書いておく。


町中の航空会社の公式オフィスでチケット購入。自転車は10キロまで無料、それ以上は1キロにつき8ドルの超過料金とのこと。自転車は19キロなので72ドルでいけるはずである。

  ↓

フライト当日、チェックインカウンターで自転車を預けようとしたら162ドルの超過料金を請求されてしまった!><; 航空会社オフィスで自転車は10キロまで無料と言ってました、となんとか説明する

  ↓

「その担当者の名前は?」と聞かれる><; 知らないお〜(´;ω;`) プリーズチェックイット!

  ↓

上司らしき人が電話で確認してくれて72ドルになりました。ホッ(´;ω;`)



とまあこんな顛末であった。ボンビーな旅行者は特に要注意であります。

実際にはこの後、南アフリカからトルコへ片道の航空券で行ってはいけませんという話と、キャリアを手荷物で持ち込むのはちょっと困りますという話が出て、それぞれカタコトの英語で交渉してなんとかOKをもらったわけで一苦労であった(片道航空券問題は、説明すれば許可がおりる場合と、その場で正規航空券を購入し、フライト後にキャンセルして返金依頼を出す場合がある。詳細は旅行中メモ第7回の「■エクアドルへの片道航空券での入国」を参照)。毎度フライトにはこれらの問題がつきまとうので緊張する。






■キャリアと航空会社の手荷物条件
キャリアは手荷物で持ち込む。前にどこかで書いたが、自転車用ダンボール箱に入れるには大きすぎるし、預け入れ荷物として渡すと破損・歪みの危険があるからだ。


しかしキャリアの手荷物持ち込みはだいたい嫌がられる。なんだかよくわからんでかい金属の部品なので当たり前なんだが、これが僕にとっては毎回悩みの種なのだ。なんせ絶対遅れてはならないフライト前というタイミングでそれはダメだとかあーだこーだ交渉事になるわけで(しかしこの話で大変だったという話をネットで聞いたことがない。俺だけなのか?w)、ここはなるべく問題の起こりにくい方法をメモしておかなくてはなるまい。


ラッピングしてエルブレス(アウトドアショップ)でもらった大型ビニールに入れて運ぶ。
前後キャリアが入って手提げのついてる大型ビニールは海外で入手しづらかったりするので常備していた




○ラッピングして危険じゃないよアピール
大きい金属を梱包なしで持ち込むのは無理なようだ。これは凶器として扱われる可能性、または他の荷物と接触して傷つける恐れがあるからと思われる。なので、例えば大きいポリ袋などに入れただけだと持ち込みを断られる。ラッピングするなり布を巻くなどして梱包し、ぶつけても痛くないですよとアピールしよう。





○係員に聞いてくるよアピール
キャリアをまとめた袋を指して「それは預けないのですか?」とはチェックイン時(各航空会社の窓口で荷物を預ける時)に聞かれる。「いやこれは機内に持ち込むんだ、ハンドバゲージだ」と言うと「それはダメだ、大きいので預けなさい」とか言われるわけだ。ここはうまく言い訳して切り抜けなければならない大事なトコだ。


「これは自転車のパーツだ、もし預けると壊れるかもしれない、デリケートでデンジャラスなんだ」
「これが壊れると私は旅行ができない」


こんなふうに。言い訳と書いたが本当のことしか言っていない。預けて実際に歪んだことがあるので、ここは交渉力が試されるところである。ポイントは、チェックインカウンターの係員はあくまでチケット発行と預け入れ荷物の管理だけするので、手荷物持ち込みの是非についてはX線検査装置を監視している係員が担当していることだ。要はその係員がOKと言えばOKになる。「ちょっと係員に聞いてみてください、彼がOKと言ったらOKです」こんなことを言われたこともある。


ちなみに持ち込み荷物のサイズと重量制限は公式に決められているが、あれは参考用の目安程度にしか機能していない。1個10キロのスーツケースとかじゃなければ、それを理由に断られることはまずない……と思っていいはずである(少なくとも手荷物の重量を計測された経験はない)。飛行機内の荷室も結構大きいので前後キャリアくらいなら十分入る。


僕がもっとも手荷物が多かったときは、サイドバッグ×1、ウエストバッグ×1、ヒモ付きの大型ビニール、ラッピングで包んだ前後キャリア、これだけ持っていたが何も言われなかった(コスタリカ→コロンビア(乗り継ぎ)→エクアドルのとき)。




○もし預け入れることになったら……
この場合は梱包せずに裸のままのほうが逆に丁寧に扱われるかもしれない。予測はつけづらい。第三国でトランジットする便だと破損する可能性は高い。


ネパールから香港にフライトするときはラップがなかったために裸で輸送。
直行便だったことも幸いしたのか無事だった。







■荷物の総重量
参考までに自転車を含めた僕の荷物の総重量をメモしておく。この配分だと、荷物2個、各23キロ(または20キロ)の制限ならパスできる。

番号 項目 重量 特記事項
預け 自転車

緩衝材
19.5kg サドルバッグや小物入れなども含む。
預け リアサイドバッグ
リアサイドバッグ
フロントサイドバッグ
フロントバッグ
サンダル等
20.0kg ラッピングで1つにまとめてある。調理道具を除いた全キャンプ用品、デジタル一眼レフ、アメニティ各種や充電器、自転車のメンテ用品など。
手荷物 フロントサイドバッグ
ウェストバッグ
前後キャリア
約8〜10kg ノートPC、衣類、各種貴重品や耳栓などの雑品。






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