自転車の飛行機輪行



※2012年10月一部改稿

日本及び海外からでも比較的用意できる梱包方法をレポートする。

海外から日本または別の国にフライトする場合、現地でダンボールや緩衝材を用意しなければならない。これがなかなか下準備や手間がかかる。ブログのカテゴリ「旅行中メモ」でも中米から南米にフライトする際にレポートしているが、より作業を簡略化、梱包材を軽量化したのが今回のレポートである。リアディレイラーも取り外しせず、箱のサイズによってはサドルやシートポストもそのまま。どんな国でも入手ができる安い物を使って、緩衝材重量も軽めで、乱暴に扱っても損傷しないであろう梱包方法である。




■自転車を詰め込む箱
先進的な自転車屋で、自転車の入荷に使われている専用のダンボール箱をもらう。先進的でない店の場合はないかも。。。店を見つけ、うまいこと箱を入手するのは国によっては大変。箱は大きいので宿まで持って帰るのも大変だ。

首都クラスの町なら途上国でも入手できる可能性は高い。僕のサイトの「走行ルート詳細」内でも各国で先進的な自転車屋の所在をいくつかメモしてあるので、各国でどのレベルの自転車屋がどのくらいあるかの参考になればと思う。

やった事はないが、自転車用のダンボール箱がなくてもバラのダンボール箱を貼りあわせて突貫で箱を制作することもおそらくできる。資材がたくさん必要で作業も大変なので、できれば自転車用の箱を入手したいところだ。自転車以外だと、大型液晶テレビの箱が実用できそうに思えるが試したことはない。




■梱包に必要な資材
実際に南米から欧州までのフライト(乗り継ぎ1回)で使った資材は以下。都市部なら途上国でも入手が容易な物だけで揃えた。これだけ準備して梱包すればOKだと思う。実際にほとんど荷崩れはなかった。

※2012年10月追記:旅行の中期以降は「常備」にチェックを入れた物品は常に持ち歩いていた。軽いしさほどかさばらないため。

項目 数量 用途 常備
自転車用ダンボール箱 1個 自転車を入れる  
ガムテープ 1.5個 箱や緩衝材を止める  
新聞紙 日本の朝刊3〜4部くらい 緩衝材として使う  
ベビー用品の綿 靴箱に入るぐらい スプロケットなど鋭利な場所の緩衝材として使う。
他のものでも代用可能
 
太いマジック 1本(赤がいい) 箱の表面に注意書きを書く  
ひも、またはモップの先端部 少量 チェーン、チェーンリングを固定する
フォークとエンド用の樹脂緩衝材 各1個 フォークとエンドの衝撃緩和
ホイールハブ用の樹脂緩衝材 左右で各1個 ホイールハブの衝撃緩和
ジップロックの袋 数枚 樹脂緩衝材の収納
および自転車分解時のネジやクイックレリーズ等の保管



フォーク、エンド、ホイールハブ用の樹脂緩衝材。
スポーツバイクを取り扱う自転車屋ならタダでもらえる物品。
海外でも入手はできるが、軽いしかさばらないのでセットで持ち歩いていた。





■梱包手順
過去の旅行中メモで書いたもの。リアディレイラー外しはオミットしている。梱包がされていれば外さない方が(固定されている方が)安全に思える。
また、僕は長期旅行なので持ち歩いていないがフロントフォークの先端にはめこむプラスチックの固定具やフレームのエンドを固定するエンド金具があるとより安全。自転車屋などではタダでもらえる事もある。使わないとフレームが内側に歪み、組み立て時にホイールがはめ込みづらくなる事がある。カーボンフレームの場合はより注意が必要。
それから、当然の事ながら梱包作業をするスペースが必要になる。宿でできない場合は自転車屋などでチップを払って作業するのがいいかな?


番号 項目 特記事項
01 キャリア外し
02 全体清掃
03 ギアを(車輪を外しやすいよう)アウタートップに
04 サイクルコンピュータとハンドル(+オルトリーブのフロントバッグ台座)外し 積算距離を写真に撮って記録しておくと目安になる
05 ペダル外し
06 前後ホイール+クイックレリーズ外し
ホイールハブに緩衝材の取り付け
07 サドル外し、シートポスト下げ 調整位置に印を付けておく。
箱のサイズによっては不要な作業
08 チェーンのたるみをヒモでくくって固定
09 クランク片側とチェーンステー、
チェーンリング(フロントの歯車)とチェーンをヒモでくくって固定
10 ハンドルを180度回転して手前向きに(省スペース化)
11 各部に緩衝材取り付け、チェーンリングやスプロケットは箱を切り裂くので綿でカバー 綿は布などでも代用できるが綿は軽いのもメリット。
リアディレイラーや各部の先端は特に注意
12 綿や緩衝材を箱の底に敷き詰め、自転車フレームを箱に収納。
サドルがついている場合はサドルを下に、ついていない場合はチェーンリングを下にして入れる。
(輸送時は横倒しにされやすいのでどちらがでも変わらない気が…)
13 タイヤの空気を抜き、前後ホイールを自転車フレームを挟み込む形で箱に収納 ディスクブレーキローターがある場合はローターを内側にする。
ローターを外側にすると横から荷重がかかった際にローターが曲がってしまうことがある。
内側もフレームと接触すると破損の原因になるので荷崩れしないように固定したい
14 箱の内壁に接触する部分の緩衝材を増強(ホイールの軸など)
15 外したネジやクイックレリーズ、ペダル、サドルバッグなどを梱包して箱詰め
16 荷崩れしないよう丸めた新聞紙で箱内の空間を埋める
17 箱を閉じてテープで留め、箱表面に自転車という注意書きを書く 箱内にパーツ類を入れる時は目立つ色の袋などにまとめる
18 開封用の刃物をビニールで包み箱の取っ手の内側に貼る 刃物は手荷物で持ち込みできない





■その他のメモ
○梱包後の重量
梱包後の重量は前回より3キロほど軽めに抑える事ができた。確か18キロくらいだったかな……?重いと大変だし、航空会社によっては20〜25キロあたりで荷物の重量超過ラインがあるので地味に安心。

○キャリアはどうする?
取り外した前後キャリアはダンボールに入らないので、空港のラッピングサービスを使って手荷物で運んでいる。
無理やり入れて運ぶとフレームに接触してキズが付く可能性があるので注意しよう。

○空港まで運ぶにはどうする?
ドアtoドアで空港まで持っていくためには、宿に大型タクシーを呼び、空港バス直通の乗り場まで行って、そのまま空港へ移動するというのがだいたいどの国でも通用する方法。事前にダンボールが入るようなバンタイプ、または後部座席を倒して荷物を詰めるハッチバックタイプのタクシーを予約などで確保しておこう。とはいえそれも国によっては時間通りに来ない事があるので要注意だ。

日本だと事前に空港まで運んで預かってもらう事のできる運送サービスがある。ABC空港宅配など。事前に自宅まで引き取りに来てくれ、出発当日に空港内の宅配カウンターで受け取れる仕組み。料金は関東→成田空港で自転車1台3,000円。もちろん他の手荷物も預けることは可能。

【参考】空港宅配とレンタル携帯電話のJAL エービーシー

○使った後はどうする?
空港は様々なゴミの出る大型施設なので、捨てる際は職員に声をかければ「あのへんに置いといて」と言われます。




■参考エントリ
過去にブログで書いた旅行中メモ。オルトリーブのフロントバッグ台座の取り外し写真とかを載せているので同じ物を使うなら参考になると思う。

【参考】旅行中メモ第7回:中米諸国総括とかコスタリカからエクアドルへの空輸とか




■参考写真
梱包時の写真である。詳細説明は割愛するが、先端や鋭く尖った部分を重点的に新聞紙とテープで固めていく。新聞紙をクシャクシャとこぶし大に丸めて使うのがコツ。こうする事で重量を抑えたままクッション性が高まる。フレームは荷崩れしなければ傷つかないので、荷崩れしないよう最後に箱内の空間を新聞紙で埋めて対応する。この時も新聞紙を丸めて箱に入れていく。



サドルとシートポストはテープの切れ端などで印を付けておくと組み立て時に楽(写真には付いてないけど)




チェーンリングはヒモで固定して……



新聞紙で包む




シートポスト先端は箱の内壁に当たるので厚めに




フロントフォーク先端も同様。新聞紙がずれないようにテープでざっくりと固定する



チェーンはヒモで固定して新聞紙で包む。
チェーンリングの下端は箱の内壁と接触する事になるので緩衝材を多めに



ベビー用の綿。だいたいどの国でもスーパーに置いてあると思う



軽いのも利点



フレームに付けるバッグはそのままだ。




スプロケットやディスクブレーキローターは新聞紙だと破れてしまう事があるので
綿(または布)でくるむ



タイヤの空気を抜いて箱に入れる。空気を抜かないと気圧差で破裂する危険があり、航空会社にも空気を抜くようにと規約がある。
箱が左右にちょっと膨らむけど入る



空いたスペースにサドルやサドルバッグなども入れる。
このとき荷崩れしないように簡単にテープで固定しておく




丸めた新聞紙で空間を埋めるのがポイント。
軽量でかつ緩衝材として十分な役割を発揮してくれる




テープで留めて完成。作業開始から2時間(うち15分休憩)で終わった。
下準備がしっかりできていれば短時間で終わらせられる。




この時は乗り継ぎ1回だったが全く問題は起きなかった。重量も18キロくらいと軽め。これが22キロくらいになってくると大変。また、取り外した前後キャリアはダンボールに入らないので、空港のラッピングサービスを使って手荷物で運んでいる。







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