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ボツワナとナミビアの国境だ。ザンベジ川に橋がかかっている。
ここがこの旅での最後の国境になる。





ナミビアの入国管理事務所は今までの国より格段にしっかりしていた。
ナミビアには欧州の資本が入っているため、表向きは経済的に格上なのだ。白人も多く住んでいる。
日本人にはさっぱり実感のわかない話であるが、南部アフリカ諸国の中では南アフリカに次ぐ立場なのである。
水や食事などの物価も日本並みに高い。





地平線までのびる平坦でまっすぐな道。地平線の向こうに車が見えても、すれ違うのは1分以上たってからだ。





風景もがらりと変わった。白い砂漠質の砂地が広がる。こんな風景は今までなかった。
もう一日中走れるような時間は残されていない。
今までうんざりするほど走ってきた草原や山岳は、この先たぶんもう走れない。





ナミビアの道には、10〜15キロ置きに小さなベンチがある。
フミさんや、他の自転車乗りもきっとここを利用したのだろう。





これが自転車を漕ぎ続ける最後の一日になるかと思うと、たまらない気持ちになった。
累計の走行距離は1300キロを越えている。もっともっと走る人もいる。自分はいったいあと何キロ走れるんだろう?





ものすごく暑くて、今までの苦しかったこととか出会った人の顔がいくつも頭に浮かんできて地平線がにじんだ。
たった1ヶ月にも満たない時間なのに、もう帰りたいと何度も思ったのに、今はまだ走っていたいと思う。





町が見えた。はっとなって思わず立ち止まっていた。自分にとってはこの町がゴールのようなものだ。自転車の旅が終わる。




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