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マラウイの首都まで来た。
さすがに首都ともなると栄えている。車がひっきりなしに行き交い、道を歩く人々の服装もきちんとしている。スーツ姿のビジネスマンを見ることもあった。





体調もだいぶ回復し、火傷も治りつつあったが、なにより下痢が止まったのが助かった。





町の中心近くではこんな近代的な景色を見ることも。
ダルエスサラームを発ってから初めてだ。





インターネットカフェを探し当てた!たった2週間とはいえ、日本との関わりにすっかり飢えていたのでありがたい。





PCのモニターの中ではいつもと変わらないYahooのホームページやSNSの日記更新、日々の日本のニュースがあって、じわりと来るものがあった。





日が暮れてきた。自転車さえあれば一日中走り回っていても飽きないものである。




夕食をとっていたら思ったより待ち時間が長くて暗くなってきた。隣のテーブルに座っていたガタイのいいおっさんが話しかけてきた。

「よう元気か。あの自転車はおまえのか」
「うんそう。旅してるんだ」
「ほう〜」

おっさんは機嫌がよさそうだ。

「暗くなってきたけど、街の治安は大丈夫なんすかね?」
「夜はあんまり出歩かないほうがいいな。どこに泊まってるんだ」
「クラウンロッジという宿です」
「xxxxxxに行ったりしないのかwwwwっうぇwwww」

どうも売春宿とかそういうことを言っているらしい。

「いや行かねぇっすwww金もないっすww」
「安いもんだろ?ww安けりゃ1回1ドルだwwwたくさんいるぞwwwっうぇwwっうぇwwww」

外はすっかり暗く、通りではなにやら若い男どもがうろうろしはじめている。うはー。たまんねぇ雰囲気だ。

「日本にもxxxxxxはあるのかwww1回いくらだ?www」
「100ドルくらいからですかねぇ…」
「マジでか、信じられん!だったらおまえはこの国じゃヤり放題じゃないか!!wwwwww」

夕方までは特に身の危険を感じなかったけど、暗くなると商店は閉まり、あやしげな若者や物乞いのような人がうろうろするようになった。
これは少しヤバイ雰囲気だ。さっさと宿へ戻ろう。




しかし、すっかり体調も回復したのかと思いきや、夜中に今までにない強烈な下痢に襲われた。
その頻度たるや、1時間に1回は目が覚めてトイレに駆け込んだ。23時、0時、1時。
宿のトイレは珍しく清掃されている洋式だったのは不幸中の幸いだったけど、蚊がうじゃうじゃ飛んでいるのがかなわない。
マラリア蚊である可能性が高いのでまったく油断できない。
しかも、電気がついたり消えたりを繰り返すので全く落ち着かないのだった。電気が消えたら明かりは一切ないので完全に真っ暗だ。

2時、3時、4時……。結局夜明けまで1時間に1回は目が覚めてトイレでの格闘は続き、げっそりとして朝を迎えた。
症状や排便の色から見てコレラの類だろうか。何かまずいものでも食べただろうかと頭をめぐらせたが、思い当たる節がありすぎて考えるのをやめた。
とりあえずコレラは下痢が続くだけで命には関わらないから、あきらめるほかない。旅はまだ続く。



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